“何を観てもいい作品だと思える映画館シネマクレール”
この映画館で「葡萄畑に帰ろう」という作品を観てきました。
この作品はジョージアという国が舞台の家族ドラマです。

主人公ギオルギはこの国で「ある省庁」の大臣を務めていて、製本会社で馬車馬のように働いている僕からは想像もつかないような悠々自適な生活をしています。
ギオルギは趣味のアンティークに囲まれた大きな邸で家族や使用人とそれなりに仲良く暮らしているのですが、ある日から彼の運命が激変していきます。その中で彼は本当に大切なものと帰るべき場所を見つけていきます。

とこんな感じの物語なのですが、僕の感想は
自分が本当に好きな映画ってこんな映画だったよな」
と再確認するような良い映画でした。ではどういう所がそう思わせるかというと、この映画の中にある
人間に対する深い愛情と、どんな人生をも全肯定する前向きさです。

この作品は、ジョージアという国の社会的背景と、監督であるエルダル・シェンゲラヤさんの政治家としての経験が下敷きになっています。
映画の中で主人公ギオルギは社会に翻弄され、散々な目に遭うのですが、彼自身は人に対する優しさを失わないのです。その姿はたぶんシェンゲラヤ監督自身の人間性が反映されているのではないかと思います。
なぜギオルギが激変する運命の中でも優しさを失わないのかと言えば、彼には”帰るべき場所”があり、そこに”彼の人間性のルーツ”があるからです。タイトルの「葡萄畑に帰ろう」は「誰にでも帰るべき葡萄畑があるんだよ」とも読み取れます。

よく「人は1人では生きられない」と言いますが、この映画を観てその言葉の深い意味を考えてみました。
たとえば、食べ物や住む所、お金がないと人は生活できません。生きていくためにはこれらを供給してくれる人とのつながりが必要です。
しかし人間が明るく前向きに生きていくために本当に大切なものは、自分をありのままに肯定してくれるコミュニティーなのではないでしょうか。自分という人間を温かく受け入れてくれる他者がいなければ、いくらお金や物が豊富にあっても人生は虚しいのかもしれません。
逆に言えば、いつでも帰ってこられる場所があれば、人間はどんな逆境からも立ち上がれるのだ。というような事を映画から教えてもらったような気がしました。

パンフレットの中にはジョージアという国について、監督についてなど詳しく載っていました。