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新説ももたろう 前編

※このお話はあの有名な物語「桃太郎」とは違った内容になっています。ご了承の上、ご覧ください。

 

 

 

 

小さなお国のある村では、子どもが少なくて年寄りがたくさん暮らしていました。

この村だけでなく、お国全体がそんな状態でした。

そんな中でこの村に住むおばあさんは、朝から晩までせっせと働いていました。

おばあさんの手だけでは足りないので、飼っている猫の手も借りて仕事をしていたのです。

 

 

 

 

 

ある日、猫が洗濯物を干そうとしていると、

玄関先にまるまる実った大きな桃と手紙が置いてありました。

手紙には「この桃は世直しの桃です。どうぞ大切に育ててください。」と書いてありました。

「とにもかくにも、これはめずらしい桃じゃあ。」

猫はおばあさんに食べさせてやろうと持ち帰りました。

 

 

 

 

その晩、猫とおばあさんは桃を切ってみる事にしました。

ご近所にお裾分けしてもまだ余りそうな大きな桃です。

ところが猫が包丁を振りかざしたとたん、ぱかりと桃が2つに割れたのです。

そしてその中から、大きな男の子の赤ちゃんが飛び出してきました。

猫とおばあさんは腰が抜けるほどびっくりしましたが、

「とにもかくにも、この子を育てにゃあいかん。」

そういってこの男の子を育てる事にしました。

 

 

 

 

男の子は何でも食べてすくすくと大きくなりました。『桃太郎』と名付けられた男の子は力が強く、若者のいない村でみんなの手助けをしてよく働きました。

しかし、大きくなるにつれて桃太郎はおかしな事に気づくのです。おばあさんや猫や村の年寄りと一緒に朝から晩までくたくたになって働いても村が貧しいのです。どうしてこうなるのかと思った桃太郎は猫に聞きました。

「なんでこんなに貧しいんじゃ?猫どん。」

すると、猫もおばあさんも村の年寄りも決まってこう言うのです。

「お役所がごっそり持っていくからよ。」

 

 

 

 

桃太郎はお役所をまとめる長者さんの家に行きました。

家に行くと長者さんは気が狂ったように仕事をしていました。桃太郎が話しかける暇もありません。

それでも桃太郎は聞いてみました

『長者さん、どうしてこの村は貧しいんじゃ?』

『お国がごっそり持ってくからよ。わしがこんなにして働いても全然足りんのじゃ』

長者さんは吐き捨てるように言いました。

桃太郎はお国のお殿様に会おうと思い、家に帰って猫に相談しました。

「わしはお国のお殿様に会いにいってくるよ。」

「そりゃあ1人じゃ心配じゃあ。」

猫はそう言って、一緒についていく事にしました。おばあさんは猫におにぎりときびだんごを持たせました。

 

 

 

 

 

都についた桃太郎と猫は、お殿様を訪ねてお城に行きました。しかし、お城の前でゴリラのように大きなお侍に

止められました。お侍が言います。「お前たち、お城に何の用事じゃ?」

桃太郎は答えます。「お殿様に会わせておくれ。聞きたい事があるんじゃ。」

ゴリラみたいなお侍さんは言います。「腕っぷしの強そうな小僧じゃ。面白い。わしに勝ったら会わせてやろう。」

それを聞いた猫はびっくりして桃太郎に言いました。「あんなでっかいお侍相手にケンカなんてとんでもない!」

しかし桃太郎は言いました。「大丈夫じゃ猫どん。わしは負けん。」

桃太郎とゴリラの決闘です。

 

 

 

 

自分より小さな桃太郎を甘く見たゴリラは、いきなりつかみかかってきました。しかし桃太郎は突進してくるゴリラをひらりとかわすと、その太い腕をつかみ、ぐわんと背負い投げをしてしまいました。

あっという間に桃太郎の勝ちです。猫は桃太郎がこんなに強いとは知らなかったので、ゴリラが可哀想になって起こしてあげました。

「大丈夫かゴリラどん。うちの桃太郎がこんなに強いとはわしも知らんかった。」

「いやいや あっぱれ桃太郎。約束通りお殿様に会わせて差し上げよう。」

ゴリラは潔く負けを認めると、桃太郎と猫をお城の一番上に連れて行きました。

 

 

 

 

 

 

お殿様は思っていたより小柄で優しそうな顔をしていました。桃太郎は思っている事を聞きました。

「わしの村は年寄りばかりで、みんなでくたくたになるまで働くのに貧しいままじゃ。これはどういう事かと思ってお殿様に聞きにきたんじゃ。」

お殿様はこう言いました。

「鬼が島の鬼がこの国のお金や宝物を奪おうとしている。この国は小さくて弱いから海の向こうにある、強い竜の国に守ってもらわないといけない。そのためにはお金がたくさんいるのだよ。」

桃太郎が言いました。

「そんならわしが鬼が島へ行って、この国のものを取るなと言うてやる。そうすれば竜の国にお金を払わんでよいはずじゃ。」桃太郎と猫は出発の支度を整えます。そこへ、お城で決闘したゴリラがやってきて言いました。

「桃太郎さん、猫どん。どうかわしも連れて行ってくれ。きっと役に立つだろう。」

桃太郎と猫はよろこんでゴリラを仲間にしました。三人組になった桃太郎たちは鬼が島へと向かいました。

 

後編へ続く

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